村上吉文先生のセミナー@ラオス人材開発センター レクチャー公開!

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少し前の話で恐縮ですが2月24日、ラオスヴィエンチャンにある「Lionel Trains | Find Cheap Lionel Trains!」で、セミナーがありました。コンケンからヴィエンチャンまではバスで3時間。バンコクへ行くよりも断然近いのです
さて、そのセミナーですが、

講師:村上 吉文 先生
テーマ:能力試験2級読解突破方法
    エクセルを使って、コミュ二カティブな練習をするためのタスクカードを作る

村上さんは『月刊日本語』(アルク)で連載中の「次世代教師の賢い手抜き術」や「むらログ」でご存知の方が多いはず。今は、国際交流基金派遣の日本語教育専門家として「http://www.vjcc.org.vn/index_jp.php」にいらっしゃいます。
私事ですが、2008年3月に「http://www.jpf.go.jp/j/kansai/sympo/index.html」の実行委員として分科会3「インターネットでつくる」を担当していた時、村上さんがスピーカーとして来てくださったというご縁があります。

セミナーの内容はこのブログでも報告するつもりだったのですが、そう思っているうちに驚きのページが出現!
09年3月3日「むらログ: 初級読解の教え方、能力試験攻略法などのセミナーを公開します。」で、セミナーがスライドと音声とともに再現されていますので、どうぞご覧くださいませ。(こんなことができるんだ…と思った方、上記ブログのほか『月刊日本語』四月号をどうぞ。)

また、最新の話題として4月10日「むらログ: レクチャーを公開すること」もあります。全てのセミナーに参加することはできませんから、ネットを最大限に活用しつつ、上手く時間を使ってこれぞ!という「参加型セミナー」に参加したいものですね。
村上先生には、ぜひタイにも来ていただきたいものです!

音声・発音のクラス、どうしていますか?

タイの大学に来て、音声・発音等の科目を教えることになった先生、いませんか。
タイ人の先生は「私はネイティブじゃないのでよろしくお願いします」と言うけれど、ネイティブならではの悩みもありますよね。その上、1学期の授業をどうデザインしたらいいか?

科目になっていない学校もあるとは思いますが、少なくとも私の周りには3人、この科目担当になって困っている日本人先生がいましたし、先日バンコク日本文化センターが行った08年度第3回日本語教育セミナーのテーマも「音声の指導」。タイ人と日本人のどちらにとっても悩み深きものなのかもしれません。

セミナーでは、横浜国立大学の河野俊之准教授がプロソディー(音の大きさ・長さ・高さ)の指導を中心に、効果的な音声の指導法についてお話になりました。かの有名な『1日10分の発音練習』の著者である先生のご登場に、タイ各地からかなりの数の先生が集まっていました。

1日10分の発音練習

1日10分の発音練習

そして、こちらも必読!

月刊 日本語 2009年 01月号 [雑誌]

月刊 日本語 2009年 01月号 [雑誌]

「60分でわかる音声指導入門」CD付きです。

さて。コンケン大学教育学部でも後期(11月〜2月)に「Japanese Phonetics」という1年生対象の科目がありました。もとはタイ人の先生が一人で担当だったのですが、3コマ=3時間連続という時間割に、「私1人で3時間も発音を教え続けるのは無理…!!」となり、急遽チームティーチングに。

授業をデザインする際には、チームティーチングであること、3時間という時間を生かすことを考えました。また、教育学部の学生は将来日本語の先生になる可能性が高いので、将来役立ちそうな「音声・発音」の指導を身をもって経験しておく、というのも大切な目的です。今年度、やってみたのはこんな感じ。

1コマめ(日本人Tが中心) : 体を使って音と声を出す
2コマめ(タイ人Tが中心) : 音声学および日本語音声の理論・知識
3コマめ(日本人T+タイ人T) : 日本語を楽しむ−作品を読む−

1コマめ:体を使って音と声を出す ベースにあるのは、リズム・イントネーションなどプロソディックな部分の指導を重視するという考え。かの有名なVT法はその代表ですね。これに関しては、ひょうご日本語教師連絡会議VT法研究会「授業で使える発音指導〜VT法を活用して」の解説書とビデオは、とても参考になります。(世界の日本語教育に貢献するにほんごの凡人社の書籍検索で「VT法」と入れると出てきます。)
今回は、そこまで特化するわけではなく、タイ人の先生がタイ人の高校生に指導する、という場面を意識した内容・やり方を試みました。下の本↓も参考にしています。

子供のための日本語教育 (日本語の教え方・実践マニュアル)

子供のための日本語教育 (日本語の教え方・実践マニュアル)

手や体を使うことで、日本語のリズムやイントネーション、母音がスムーズに繰り出される感じ、楽器のように声が自然に鳴っているような感じを大切にしました。みんなの日本語の声がだんだん大きくなり、楽しそうでした。指示は日本語のみでしたが問題なし。みんな音を感じる体になっていたように思います。



2コマめ:音声学および日本語音声の理論・知識
 大学の授業なら、音声学や日本語音声の知識の伝達も必要。日本語国際センター著「発音」のタイ語訳版を使って、タイ人の先生が講義。


3コマめ:日本語を楽しむ−作品を読む−
谷川俊太郎「どんどこどん」、まきさちお「あひるのあくび」、早口言葉などで、日本語を楽しむ(タイ人の先生の通訳あり)。後半は、草野心平「秋の夜の会話」、菊田まりこ「いつでも会える」などを使い、ある気持ちの時に日本語ではどんな表現(音の高さ、長さなど)になるか、作品の中身にも触れながら練習しました。指導は、1コマめの実践版としてプロソディックな部分を中心に。

いつでも会える (ハートフル菊田まりこの絵本)

いつでも会える (ハートフル菊田まりこの絵本)

最後は、24人を4グループに分け、その中でさらに分担を決めて「いつでも会える」の発表会。
<音声をアップロードしようとしています…少々おまちください。とりあえず、発表時にバックで使用したパワポの一部紹介。これに音をつけられるよう挑戦中です。>

この作品での発音がうまくできたとしても、それが全ての日本語使用に通用するわけではないのは承知の上。河野先生は「目標音が言えたとしても、それを常に言えるようになるためには、目標言語が言える状態を自覚すること、つまり、自己モニターの能力が必要」と書いておられます。そこへ行くにはもうワン(ツー?スリー?)ステップ必要!
ただ、今回1年生が「この練習方法でどうだったか」をまず感じておいてくれたら、そこからつないでいけるのではないかなと思っています。


ここでは参考にしたものを中心にざっくりと書きましたので、今度担当することになって困っている、なんて方はいつでも連絡ください。とは言え、私が取り入れたことは、日本語教育の先輩方がやってこられたことであり、それをタイの現場に当てはめて考えただけ(「いつでも会える」の朗読発表、関西国際センターでの10年前の実践を参考にしました)。それでも、今回実際にやってみてとても勉強になりました。他にもいろんな方法があると思います。一緒に考えてみませんか?

「授業研究」最終発表会

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5年生の教育実習がいよいよ大詰めを迎えました!
3月9日(月)、各実習生が後期に実習先で取り組んでいた「授業研究」の最終発表会がコンケン大学教育学部にて行われました。

その名も、

The first Annual Meeting of Preservice Professional    Development. 

[,w200,h140,right] 数学、理科、社会、コンピュータ、体育、芸術、タイ語、英語、そして日本語教育専攻の197名の学生がそれぞれの研究について発表しました。
日本語教育専攻の学生のテーマの例です
(本当はタイ語);

*The Development of Understanding Vocabularies Skill by Japanese Vocabularies Exercise for Student’s Mattayom 2

*The Development of Mattayom4 Japanese Program Student’s Listening Skill by Using Listening Worksheet

前にも書きましたが、2005年に教員・教育職員審議会(The Teachers’ Council of Thailand)が提示した「教育専門職基準」(Education Professional Standards)は、更に(1)教育専門職の知識・経験に関する基準、(2)教育専門職の職務遂行の基準、(3)教育専門職倫理規定に分けられます。教育実習は、(1)の基準の中で触れられているのですが、特に、専門科目に関する運用能力として以下の4点があげられています。

(a) 専門科目の学習指導ができる。
(b) 学習者の潜在能力に応じて学習指導を評価し、改善し、向上させることができる。
(c) 学習者の能力や人間性などを伸ばすため、授業研究ができる。
(d) 学習指導および学習者の学習成果をレポートとしてまとめることができる。

特に(b)〜(d)の記述から、授業研究が重視され「反省的実践家」(佐藤1996)としての成長が求められていることがわかります。授業研究は、現職の中等学校の先生たちにとっても今や無視できないこととなっています。6週間とは言え、きちっとした研究のフォームに沿って学生たちが教室研究を行ったことは現場の先生たちにも何らかの役に立つのではと思います。自分が実際教えているクラスでの改善に取り組んだ経験を、卒業後はぜひ現場で生かしてほしいものです。  

これはおススメ!「日本語教師のためのサバイバルタイ語(高校編)」

タイの高校で働く全ての先生におすすめしたいサイトができました。

http://www.jfbkk.or.th/jl/survival/index.html

実際にタイの高校で働いている先生たちならではの視点が光っています。
特に座談会「タイの高校について語る」は楽しいですね。高校の現場を知っている人なら、うんうんとうなづきたくなるでしょう。

第1回cover&cosplay meeting at コンケン

 アニメ関係の話題が続きます。日本語コスプレコンテストの翌日、奇しくもコンケン市内のホテルで「第1回cover&cosplay meeting」があると言うので行ってきました。

 開場と共に人が続々集まり、会場は満員。そして、レイヤーたちも。[,w240,h150]      [,w230,h160]
バンコクでは毎週のようにコスプレイベントが開催されていて、かなりレベルも高いと聞きますが、地方都市であるコンケンでも、こんなイベントが始まったとは…。

 ところで、右の写真の左端の男性、「DEATH NOTE」の「L」らしい。タイでは「L」が爆発的人気で、コスプレ関係のイベントでは会場がLだらけになる、というのは聞いたことがあるのですが*1、牛柄のLはきっといないでしょうね。先日のコスプレコンテストでも「L」に扮した人が「E」と書かれたトレーナーを着ていたので、突っ込みたくてうずうずしてしまいました。[,w80,h115,right]タイらしい大らかさと言っていいのでしょうか、それとも地方都市ならではの光景?
タイらしいと言えば、こちらは男性版NANAです。とてもダンスが上手な高校生でした。 →





 [,w230,h160,right]ただ、会場を沸かせたのはcosplayよりもむしろcoverのほうでした。アイドルになりきって口パクで歌い、踊るというものですが、何と言っても一番人気は「東方神起」!「東方神起」のカバーをするグループがいくつも登場、しかも毎回会場は大興奮で、まるで本物のライブに来ているかのような盛り上がりぶりでした。



 日本のアイドルは…。出ました「NEWS」!?
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 ナコンラチャーシーマーから来たというこのグループ、踊り、目線、しぐさ、全て本人になりきっていて本当にcoverが上手でした。(熱烈なファンの方には怒られそうですが。)それにも増して驚いたのは、それに合わせて歌い踊る高校生ファンの姿。全曲、パーフェクトに日本語の歌詞を覚え、振り付けつきで歌い・踊っていました。(ちなみにセーラー服はコスプレです。)
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コスプレコンテストの時にも感じたのですが、「好き」から来るパワーは本当に大きな可能性を秘めていると思います。アニメ、芸能人、漫画、ゲーム…。最近はタイでも日本・日本語は、韓国人気、中国語人気に押されがちと聞きます。そんな今こそ、私たちはこの「好き」という気持ちを大切にしたいものですね。

日本語コスプレコンテスト

1月23日、東北タイ日本語教育セミナーに引き続き「日本語コスプレコンテスト」が行われました。コンケン大学教育学部日本語教育プログラムの学生が準備、当日の進行など全てを担当しました。

 オープニングは、午前中に練習した高校生「ワハハダンス」のお披露目!
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各校の制服を着て踊る生徒さんたちの笑顔と、自分の学校の生徒を一生懸命写真に収めようとする先生方の姿が印象的でした。


 続いて「コスプレ」アピールタイム!
高校生の参加申し込みも多く、エントリーは全部で15チームでした。「DEATH NOTE」「NANA」「DRAGON BALL」「FINAL FANTASY」などのキャラクターになりきり、音楽や照明を工夫したり、ちょっとしたドラマ仕立てにするなど様々。バンコクで開催されるコスプレイベント等には到底及びませんが、それもご愛嬌。

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 審査員は芸術教育専門の教員、日本語教育専門の教員、現役日本人大学生などタイ人、日本人を織り交ぜた面々です。普通のコスプレコンテストと違うのは、全員が日本語学習者であるということ。日本語もアピール点に入りますから、みんなキンチョウしながらも日本語で自己紹介。
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会場は写真を撮るのに必死でした。
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さて、結果はいかに…。






 第一位は「くのいち」に扮した中央の男の子が受賞。パフォーマンスも含め、会場へのアピールが圧巻でした。オメデトウ!
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 第二位は、ラオスとの国境沿いの地方都市にある某専門学校のチームでした。アピールタイムの時に、一生懸命練習したであろう日本語で学校の紹介をして審査員を驚かせました。 [,w200,h140,right]
 今までこのような機会はなかったとのこと、「本当にありがとうございます!」と私たちコンケン大学の関係者に何度も何度も言って帰って行きました。自分たちは地方の専門学校だし、東北地方の中心とも言えるコンケン大学でのこのような日本語関連のコンテストに出ること、初めは恥ずかしいと思っていたそうです。


 みなさん、楽しい時間をありがとう!

東北タイ日本語教育セミナー

1月23日(金)、東北タイ日本語教育セミナーが無事終了しました。
ところでみなさま、東北タイと聞いてどのようなイメージが浮かびますか。チェンマイ、スコータイ、プーケットなど有名な観光地がある他のエリアとは異なり、一般的に日本人にはあまり知られていないのがこの地域です。
東北タイはイーサーンとも呼ばれ、168,000平方Km、タイ全土の3分の1を占める広さで、以下の19の県があります。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/e/e1/Thailand_Isan.png
北イーサーン

  • カーラシン県
  • コーンケン県
  • ルーイ県
  • マハーサーラカーム県
  • ムックダーハーン県
  • ナコーンパノム県
  • ノーンブワラムプー県
  • ノーンカーイ県
  • ローイエット県
  • サコンナコーン県
  • ウドーンターニー県

南イーサーン              

  • アムナートチャルーン県 [,W230,H160,right] 
  • ナコーンラーチャシーマー県
  • チャイヤプーム県  
  • ブリーラム
  • スリン県
  • シーサケート県
  • ヤソートーン県
  • ウボンラーチャターニー県                   

                               ↑地域ごとに受付

 本セミナーでは、このうち15の県の学校から参加がありました。参加者は、教師と生徒を合わせて117名。別にコンケン大学の学生も加わり、総勢200名を越える会となりました。

     学部長の挨拶                        会場の様子
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プログラムは、1月12日の日記の通り。

 今回のセミナーの特徴の一つは、日本文化、特に若者文化にも焦点をあてたことです。08年7月には、アニメ文化大使に就任したドラえもん大使がバンコクでお披露目式*1をしていますが、アニメや漫画を通して日本語に興味を持った学習者はこの東北タイにもたくさんいます。そこで、日本事情にも詳しい教育学部芸術教育学科のアリヤポーン黒田准教授に「タイ人教員の視点から見る日本の芸術」という題で講演をお願いしました。
アリヤポーン准教授の講演↓
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聞き応えのある、すばらしいご講演でした。


 ところで、今回のセミナーには先生と一緒に高校生もたくさんコンケン大学にやってきています。コンケン大学の見学、午後のコスプレコンテスト参加などがその主な理由です。しかし、主に教員向けの内容である午前中のセミナーに生徒が参加しても退屈するんじゃないか、どうしたらいいか、そんな声が事前に参加を希望する先生方からあがりました。
そこで…。セミナーの間、生徒はみんなで「ワハハダンス」!
「ワハハダンス」練習風景↓
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 これは筑波大学の先生が考案されたダンス*2で、1曲の中でたくさんの人と組んで踊ります。現在、短期TA(ティーチング・アシスタント)プログラムで教育学部日本語教育プログラムに来ている筑波大の学生さんが中心になり、日本語簡単バージョンのダンスを紹介、指導してくれました。
 みんな大きな声で歌い、ちょっと照れながらも他の学校の生徒とペアになって踊っていました。各地で日本語を勉強している生徒同士が触れ合う機会というのはなかなかありませんが、ワハハダンスを通じて交流するいい機会になったようです^^。


 先生方にとってもこのセミナーは交流の機会となったようです。休憩時間、昼食会ではお互いの状況などについて情報交換する姿が見られました。
休憩中、昼食会の様子↓
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このセミナーは、JFにほんごネットワーク*3のメンバーであるコンケン大学における事業として実施されました。このセミナーをきっかけとして、現地の先生方の手によるネットワークが生まれることを願ってやみません。