シリーズ:コンケン大学教育学部日本語教育専攻の挑戦 −3.入門レベルの教室活動:1年生−
今年日本語教育専攻に入学した第6期生28名のうち約半数が既習者です。とは言え妙なクセがついてしまっていることも多いため、大学ではもう一度ゼロから学びます。将来、中学や高校の日本語教師になるかもしれないということを考えると、この入門期のうちに丁寧に文字を書き、適切に発音する癖をつけておくことがとても大切。ですから、「日本語基礎コミュニケーション」のクラスではひらがな・カタカナの発音や書き方、そして書き順を意識的に勉強・練習します。
文字指導の段階で活躍したのが、この3つ。
さて、1年生は『みんなの日本語』をメインテキストとした学習をもう一つの科目で進めているため、「日本語基礎コミュニケーション」のシラバスもその学習項目の流れに合わせています。ただ、こちらは実際の文脈の中での日本語使用が実感できるよう教室活動をデザインしていることが特徴の一つ。そこで「買い物」という課での実践をご紹介したいと思います。
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STEP1 『エリンが挑戦!にほんごできます』第4課 場所をきく-コンビニ−
- ビデオを見る(タイ語訳つき)、基本スキット(P74−76)配布。
- 上、下、となり…など、位置を表すことば
- コンビニのことば(P82-83)
- 場所を聞く、答える表現「〜の〜に〜があります」など(P77-78)
- 数字、値段
- 「いくらですか?」「〜です」 ⇒ペアワーク
- 買い物の会話(P18)
- 知らない言葉をたずねる「〜って、日本語/タイ語/英語/イサーン語で何ですか。」(P15)
STEP3 教室外活動「セブンイレブンへ行こう!」
- 各自、学部から徒歩3分のセブンイレブンへ。調べたことをタスクシートに記入。
STEP4 ペアワーク
- 各自が調べたタスクシートを使ってペアで「〜はどこですか」「いくらですか」「〜って、タイ語で何ですか。」など質問。↓タスクシートの例です
STEP5 発表
- STEP1〜4をベースにグループで買い物場面の会話を考え、発表
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実際にコンビニへ行くことによって、位置関係を表すことば、「〜は〜の…にあります」の文型などを使う状況が実感できたのではないかと思います。「柔軟剤」「ヘアジェル」など、教科書ではなかなかお目にかからない(けれどコンビニにはよくある)言葉がタスクシートの中にも自然と出てきていますね。お互い調べてきたことが違うため、ペアワークでも活発なやりとりが行われていました。
このような活動は、日本語学習を初めて間もない段階からどんどん取り入れていきたいと考えています。なぜなら、将来高校の教師になる可能性がある学生が自ら経験することで、入門や初級前半でもこういった活動が可能だということを具体的に感じる機会となるからです。今はそこまで思いが至らないでしょうが、将来、教壇に立った時に「そう言えばあの時…」と思い出してもらえるかもしれません。教育学部の日本語科目はそのための地道な種まきもまた行っていると言えるでしょう。
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