シリーズ:コンケン大学教育学部日本語教育専攻の挑戦             −3.入門レベルの教室活動:1年生−

 今年日本語教育専攻に入学した第6期生28名のうち約半数が既習者です。とは言え妙なクセがついてhttp://www.jpf.go.jp/j/japanese/dispatch/voice/tounan_asia/thailand/2007/image/report06_05.jpgしまっていることも多いため、大学ではもう一度ゼロから学びます。将来、中学や高校の日本語教師になるかもしれないということを考えると、この入門期のうちに丁寧に文字を書き、適切に発音する癖をつけておくことがとても大切。ですから、「日本語基礎コミュニケーション」のクラスではひらがな・カタカナの発音や書き方、そして書き順を意識的に勉強・練習します。
文字指導の段階で活躍したのが、この3つ。

  • JFBKK「ひらがなアソシエーションカード」⇒ (これは本当に優れものです!)         
  • 水かきお習字練習シート*1
  • 文字の宝島*2

 さて、1年生は『みんなの日本語』をメインテキストとした学習をもう一つの科目で進めているため、「日本語基礎コミュニケーション」のシラバスもその学習項目の流れに合わせています。ただ、こちらは実際の文脈の中での日本語使用が実感できるよう教室活動をデザインしていることが特徴の一つ。そこで「買い物」という課での実践をご紹介したいと思います。

  • 科目名:「日本語基礎コミュニケーション1」(1年生対象)
  • 学習者のレベル:入門〜初級前半(みんなの日本語第3課まで)
  • 科目の目的:使える限りの4技能とストラテジーを駆使し、できる範囲での課題を達成する
  • 使用教材:「Jブリッジ for Beginners1」「エリンが挑戦!にほんごできます」など

                    ****
STEP1 『エリンが挑戦!にほんごできます』第4課 場所をきく-コンビニ−
http://ec2.images-amazon.com/images/I/51dav-mG8cL._SL500_AA240_.jpg

  • ビデオを見る(タイ語訳つき)、基本スキット(P74−76)配布。
  • 上、下、となり…など、位置を表すことば
  • コンビニのことば(P82-83)
  • 場所を聞く、答える表現「〜の〜に〜があります」など(P77-78)

STEP2 『Jブリッジ for begginers1』
http://ec3.images-amazon.com/images/I/51VJtg46XoL._SL500_AA240_.jpg

  • 数字、値段
  • 「いくらですか?」「〜です」 ⇒ペアワーク
  • 買い物の会話(P18)
  • 知らない言葉をたずねる「〜って、日本語/タイ語/英語/イサーン語で何ですか。」(P15)

STEP3 教室外活動「セブンイレブンへ行こう!」

  • 各自、学部から徒歩3分のセブンイレブンへ。調べたことをタスクシートに記入。

STEP4 ペアワーク

  • 各自が調べたタスクシートを使ってペアで「〜はどこですか」「いくらですか」「〜って、タイ語で何ですか。」など質問。↓タスクシートの例です

[,h430,w300][,h430,w300]

STEP5 発表

  • STEP1〜4をベースにグループで買い物場面の会話を考え、発表

                       ****

 実際にコンビニへ行くことによって、位置関係を表すことば、「〜は〜の…にあります」の文型などを使う状況が実感できたのではないかと思います。「柔軟剤」「ヘアジェル」など、教科書ではなかなかお目にかからない(けれどコンビニにはよくある)言葉がタスクシートの中にも自然と出てきていますね。お互い調べてきたことが違うため、ペアワークでも活発なやりとりが行われていました。
 このような活動は、日本語学習を初めて間もない段階からどんどん取り入れていきたいと考えています。なぜなら、将来高校の教師になる可能性がある学生が自ら経験することで、入門や初級前半でもこういった活動が可能だということを具体的に感じる機会となるからです。今はそこまで思いが至らないでしょうが、将来、教壇に立った時に「そう言えばあの時…」と思い出してもらえるかもしれません。教育学部の日本語科目はそのための地道な種まきもまた行っていると言えるでしょう。

*1:[rakuten:apita:10041947:detail]

*2:

文字の宝島

文字の宝島

シリーズ:コンケン大学教育学部日本語教育専攻の挑戦               −2.カリキュラム−

 1999年の「国家教育法」制定に端を発するタイにおける一連の教育改革。その中核が「学びの改革(learning reform: パティループ・ガーンリアンルー)」です。「学びの改革」と聞いてもピンと来ないかもしれません。同法では「全ての学習者が最も大切であると見做され」(22条)、「個人の違いを認めた学習者の関心、適性に応じた内容と活動の提供」(24条−1)が求められています。つまり、学びの改革とは、学校教育の基本を教師中心から学習者中心へ転換することだと言われています。

 上述の教育改革は基礎教育段階が主な対象となっていますが、同様の考え方はタイの高等教育関係者にも見られます。例えば、コンケン大学教育学部ではProcess orientedのモデルをベースにカリキュラムをデザインしようとしていると聞いたことがあります。このモデルのコンセプトを掻い摘んで言えば、

  • 学習の主体は、学生(教員になる学生)。
  • 成果よりは過程を重視する。
  • 教育評価の方法としては「ポートフォリオ」のようなものに蓄積しつつ、形成的な評価を行う。

↓クリックすると簡単な説明があります。
http://www.ils.unc.edu/daniel/242/CurrNotes.html
 現実にはこれを適用するにはまだ時間がかかるとのことでしたが…。
 さて、コンケン大学教育学部では教員養成課程が4年制から5年制へと移行したのに伴い、2004年入学生(第1期生)より5年制カリキュラムを施行しています。そして5年めとなった昨年、全専攻でカリキュラムの見直しが行われ、今年入学した第6期生から改定版カリキュラムが適用されました。便宜上、前者をカリキュラム04、後者をカリキュラム09と呼ぶことにします。カリキュラム04では、5年間で一般科目30単位、教職科目50単位、専門科目74単位を取得することが卒業要件となっており、うち教職科目50単位についてはコンケン大学の教職科目 - 日本語教育情報局@コンケン.タイでご紹介したとおり*1。カリキュラム09でもその枠組みはだいたい変わらず、教職科目についてもいくつかの変更があったものの大きな変更はありませんでした。
 そこで、以下は私が改定に関わったカリキュラム09の専門科目についてご紹介します。
 と、その前に。専攻科目(カリキュラム09)の特色の一つが、日本語・日本事情科目とは別に、PCK(pedagogical content knowledge)育成のための科目が設けられていることです。PCKは教師の専門性について論じる際によく用いられる概念ですね。佐藤(1996)「教育方法学」*2ではLee S. Shulmanをひきながら「教師が保有している教育内容についての知識(content knowledge)を、児童・生徒の能力や背景の多様性に応じて教育学的に(pedagogically)強力で適切なかたちへと変容する」教師の能力 と定義しています。これ、日本人日本語教師の力量とも関連する概念ですよね。つまり、自分が持っている日本語についての知識を、学習者の能力や背景の多様性に応じてどのように変容させるか、という…。
 さて、専攻科目は以下のような構成になっています。実際の科目名はタイ語なので少し妙な日本語です。括弧内は単位数。

1年生

  • 現代日本語1・2(6)
  • 日本語基礎コミュニケーション1・2(6)
  • 日本語音声(3)

〔PCK科目〕-日本文化紹介(3)

2年生

  • 現代日本語3・4(6)
  • 日本語コミュニケーション1・2(6)
  • 日本語読解作文1(3)

〔PCK科目〕-漢字教育(3)

3年生

  • 教職日本語1・2(6)
  • 日本語総合コミュニケーション1(3)
  • 日本語読解作文2・3(6)

〔PCK科目〕-外国語としての日本語教育1(3)

4年生

  • 学術日本語(3)
  • 視聴覚メディアの日本語(3)

〔PCK科目〕

  • 日本社会と言語(3)
  • 文化教育のための日本語(3)
  • 日本の教育(3) 
  • 日本語教育セミナー(3)
  • 外国語としての日本語教育2(3)
  • 日本語授業研究(3)

5年生(実際は教職科目ですが、ご参考まで)

 学年が上がるごとに、重点が日本語から日本語教育へとシフトしていることがわかると思います。ところで、PCK科目が重要である一方、日本語科目における日々の学びも侮ってはいけません。と言うのも、自身が学んだ経験や記憶が意識的であれ、無意識のうちであれ、その人の教授活動を形作ることが多いからです。ですから、特に1年生や2年生の日本語科目ではそのことを意識した教室活動を展開しています。次回はそれについて一部ご紹介したいと思います。


*1:カリキュラム04の専門科目については、坪根由香里(2008)「コンケン大学教育学部日本語教育プログラムにおけるカリキュラム」『国際交流基金バンコク日本文化センター日本語教育紀要』第4号、213−222で取り上げられています

*2:

教育方法学 (岩波テキストブックス)

教育方法学 (岩波テキストブックス)

シリーズ:コンケン大学教育学部日本語教育専攻の挑戦               −1.はじめに−

 コンケン大学教育学部日本語教育専攻ができて早や6年め。今年3月に第1期生が卒業し、6月には元気な第6期生が入学しました。今は第2期生が「日本語教育実習生」として各地の高校の教壇に立ち、第3期生〜第6期生が教育学部で毎日学んでいます。

 海外の日本語教育を考える時、その国の日本語教育を長きにわたって支えていく現地教員の重要性は言うまでもありません。現職教員に対するin service trainingはもちろんのこと、長い目で見れば、これからの日本語教育を担う教員養成が行われていくことも大切です。韓国、中国、アメリカ、インドネシアなどで日本語教育主専攻の大学があるようですが、その数は多くありません。日本語学習者数が世界第七位のタイでも2004年に開設されたのが初めてなのですから、まだまだこれからの分野と言えるでしょう。

 タイ初の「日本語教育主専攻」ということもあり、コンケン大学教育学部のこれまでの歩みは決して安泰な[,w200,h150,right]ものではありませんでした。しかし、毎年コンスタントに入学志願者があり、その中には高校で日本語を学んだ人も少なくありません。現在では合わせて約130名の学生が日々日本語教師になるための勉強をしています。この数を多いと見るか少ないと見るかはそれぞれだと思いますが、地道に「日本語教員養成」の事実を築いているところだと言えます。
                  ↑ワン・ワイクルー(教師を敬う日)に、教師の前に跪き、                      花と祈りを捧げる日本語教育主専攻の学生たち。

 さて、当然ながら「日本語」専攻と「日本語教育専攻」では、学修後の到達目標が違います。日本語教育専攻で養成するのは単に「日本語ができる」人材ではありません。加えて「良い教師となる」人材です。その違いは当然ながらカリキュラムやシラバスに反映されます。中川良雄(研究代表者)『「求められる日本語教員に日本語教員養成課程はどう応えるか」に関する総合的研究』*1では、各国の日本語教育主専攻のカリキュラムが紹介されています。興味がある方は、ぜひそちらをご覧ください。

 タイの場合、牧(2006)*2にもあるように「教育専門職水準」というものが示されており、タイにおける専門性を有した良い教師とはどのような人材かが明確に提示されています。ですから「日本語教師」の養成もまた、この指針に従う必要があります。一方、上記の専門職水準は「教師」一般について示されたものであり、「日本語教師」としてどのような専門性が求められるのか、それをどのように養成するべきかは示されていません。つまり、それについては現場の人間が、理論に裏付けられた地道な実践を積み重ねていくしかないようです。

 さて、前置きが長くなりました。私は今、縁あってこの日本語教育主専攻の現場にいます。着任して1年半、その間様々な実践に携わってきました。今後しばらくは「シリーズ:コンケン大学教育学部日本語教育専攻の挑戦」と題して、カリキュラム改定や授業実践例などについてご紹介したいと思います。よろしくお付き合いくださいませ。 

*1:平成18-20年度科学研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書、京都外国語大学国語学部、58-81

*2:牧貴愛(2006)「タイ初等中等教員に求められる倫理の特質――他の専門職倫理規程との比較分析――」『広島大学大学院教育学研究科紀要第三部(教育人間科学関連領域)』第55号、105-113

東北タイ日本語スピーチコンテスト

 8月20日、コンケン大学教育学部にて「東北タイ日本語スピーチコンテスト」が行われました。今回が初の開催です。中等学校の部と大学の部があり、合わせて16校の参加がありました。

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概要は以下の通り。

中等学校の部
一次審査 テーマ:「もし一日だけ日本人になったら何がしたい?」
二次審査 テーマ:「私と家族」「私と友達」「私の好きなこと(実演もOK)」

*一次審査通過者は別室へ行き、そこで初めて提示された上記3テーマから一つを選んで自分で準備
賞など
第一位 3000バーツ / 第二位 2000バーツ / 第三位 1000バーツ / 入賞(第四位〜六位)500バーツ / 参加賞
                      ***
大学の部
一次審査 テーマ:「タイの若者に影響を与えた日本の文化」
二次審査 テーマの内容に関連して、その場で審査員の質問に答える。

賞など 中等学校の部に同じ

当日の様子
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     教育学部長の挨拶↑    司会は教育実習中の5年生。普段は「先生」なの                            で高校生に対しても堂々としています。↑
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     中等学校の部↑                 大学の部↑    
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                外部からは100名以上の方が見に来てくださいました。↑
審議中には、教育学部学生による「よさこいソーラン節」、『いつでも会える』の朗読、日本舞踊なども。
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また、国際交流基金の大学生研修に参加した学生の報告もありました(写真がブレブレですが…)。
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 このコンテスト、開催決定が直前だったもので応募者は多くないだろうと思っていましたが…。蓋を開けてみると38名の応募。バスで6時間近くかけてコンケンまで来た学校もありました。引率の先生方に聞くと「東北タイでは日本人と触れ合うことも少なく“日本語を勉強して良かった!”と生徒たちが感じるチャンスがほとんどありません。このような機会は本当に貴重です」とのことでした。(「もうちょっと早く知らせてね」という声も:)) 入賞した学生さんと先生方、おめでとうございます!
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 ところで、このコンテストは教育学部日本語教育プログラムの予算から主に費用を拠出。また、当日までの準備や当日の運営は全て日本語教育プログラムの先生が担当しました。普段の業務と並行して先生も学生もよく働きました。私は、陰の主役は日本語教育プログラムの先生と学生たちだと思っています。
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また、今回は中等学校の部と大学の部とありましたが、実はメインは中等学校の部。「教育学部だから、東北地方で日本語を勉強している高校生のためにこのような企画をするのは当然」なのだそうです。先生を対象とした「東北タイ日本語教育セミナー」に続いて生まれたこの流れ。いつかはコンケン大学の日本語教育プログラムが、東北タイの日本語「教育」の中心になるのかもしれません。教育学部の中に日本語教育専攻があることの意味を噛みしめています。
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JFBKK日本語教育セミナー『ウチ』と『ソト』を結ぶ体験交流型日本語学習

 JFバンコク日本文化センターでは、タイ国内の現職日本語教師を対象とした日本語教育セミナーを年に数回開催しています。
2009年度の第1回は8月1日(土)に行われ、「『ウチ』と『ソト』を結ぶ体験交流型日本語学習――活動のデザインとその実際――」と題して私が講師を担当しました。内容は、こんな感じです。

知識として得た日本語をどうしたら実際に使えるようになるのでしょうか。その一つの方法として、タイ在住の日本人との体験・交流活動を生かした日本語学習のデザイン例を紹介します。それから、日本文化、日本事情を学ぶリソースが限られた海外で、ウチ(タイの教室)とソト(日本)を結ぶにはどのようなリソースが有効なのか、ワークショップ形式で皆さんと一緒に考えたいと思います。

参考教材:

日本語ドキドキ体験交流活動集

日本語ドキドキ体験交流活動集

http://www.jfbkk.or.th/2009/2009_103_jp.php3

[,w300,h230]
 このセミナーに早々に申し込んでくださった参加者の方々。所属機関は中等学校、大学、一般と様々であり、タイ人・日本人の比率で見ればほぼ半分ずつでした。こうも多様な参加者を前に、本当に皆さんに満足していただけるかしらと「ドキドキ」しましたが、杞憂に終わりました。
当日は所属機関種ごとに小さなグループ(日本人・タイ人混合)を作り、そこで話す時間を何度か設けたのですが、皆さんとても和やかな雰囲気で意見交換しておられました。
セミナーの配布資料はここからダウンロードできます。


後半、「日本文化・日本事情の紹介」では、今までどんな実践をして、そこでどんなリソースやツールを使ったかをグループごとに話し合い、発表してもらいました。[,w400,h330]

いろいろなアイデアがありましたが、私が特に紹介したいのは下の4つ。

    テーマ              リソース             ツール
1 NINTENDO DC      *みんなの教材サイト    実物
2 バレンタインデー  ラブレター(タイ人・日本人教員が一緒に考えた)
3 書道                           *水書道
4 教科書にないことば        *DACOタイ語

下のもの↓はサイト上でも情報がありますので、ぜひアクセスしてみてください。
みんなの教材サイト(日本語教師のためのユーザー登録制サイト):言わずと知れたJFのサイト。世界中の日本語教師の教材作成を支援します!

*水書道:これは本当におすすめです!!私は1年生にひらがなを教える時にも使っていました。
[rakuten:apita:10041947:detail]

*DACOThai:これまた、タイの日本語教育関係者必読(愛読?)の書!
http://www.daco.co.th/item/6558


体験交流型日本語学習に興味をお持ちの方は、こちらをどうぞ
国際交流基金日本語教育紀要第5号「短期訪日コースのための教材開発−『日本語ドキドキ体験交流活動集』−」

にほんごドキドキ体験&交流活動 第二弾!〔インタビュー後〕

教室を飛び出した皆の運命やいかに…。

と思っていたら、1時間のうちに「インタビューできました!」という報告の電話が全グループからかかってきました。さあ、翌日はそのまとめです。


1.発表準備(パワーポイント作成) 50分

パワーポイント作成と発表の準備にたった50分?確かに、凝りだしたらかなりの時間がかかります。でも、この活動の目的は美しいパワーポイントを作ることではありません。どの程度のものを期待しているのか、それを示すためにもまずはひな型を提示します。そうすると、シンプルながら必要な情報が入ったパワーポイントが出来上がります。

2.グループごとに発表 7分×グループ
50分で仕上がったパワーポイント作品の例です(1段目左→右 → 2段目左→右 の流れです)。個人名、写真などはカットしてあります。

3.作文 30分(or宿題)
↓参照ページ「日本語ドキドキ体験交流活動集」P.58〜59 (一部変更)
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グループでの共同作業(発表)のあとに、個人の作業に戻す(作文を書く)ことは、とても大切だと考えています。このクラスの受講者は日本語レベルが様々で、初級後半の人もいれば既に上級の人もいました。そこで、作文を書く前に「自分でレベルを設定して書いてください。間違えたほうが勉強になります。ぜひ、自分のぎりぎりのレベルでチャレンジしてみてください。」と言いました。例の通りに書いてもよし、もう少し高いレベルに設定してもよし…それを自分で判断して書くのです。
以下は、同じグループでインタビューしたAさんとBさんの作文です。 

Aさん
●私たちは**駅の近くで、**ホテルの前に、**さんにインタビューしました。センターから歩いて10分ぐらいかかりました。●**さんのふるさとはいばらきです。いばらきで有名なところはみとです。有名な人はみとこうもんです。いばらきの名物は「なっとう」という料理です。●いばらきの方言の一つの言葉は「〜だっぺ」です。「〜だっぺ」という方言は「〜です」という意味です。●いばらきのいいところについて聞きました。**さんは自然がゆたかと食べ物がおいしいだと言いました。●インタビューする時はドキドキして、聞きたいことを忘れてしまいました。**さんは親切にして、わかりやすく説明してくれました。私は新しいことをたくさん知りました。インタビューはとてもいい経験でした。

Bさん
●インタビューしたのは**という人です。**の前でインタビューをしました。**さんはいばらき県の人間ですが、今、タイに住んでいるといいました。けっこうはっきりとタイ語が言えるので、タイは長いかなと思いました。●いばらき県の有名な所は「みと」だそうです。その場所はえど時代の有名人「みとこうもん」という人にかんけいがあるだろうと思います。ところで、いばらき県の名物料理は何かと聞くと、「なっとう」だと答えて、なっとうがにがてな私には「ちょっと」という感じがします。●また方言も一つ教えていただきました。それは「…だっぺ」という方言で、全然聞いたことがなくて、面白いと思うぐらいでした。その方言の意味は特になしで、文末につける「…です」と同じ意味だと教えてくださいました。●いばらき県という所は自然がゆたかで、食べ物がおいしいと言いましたが、おいしいのは何かきんちょうして聞かなかったので、残念でした。●一番いんしょうに残っているのは、**さんは最初にインタビューをお願いした人なのに、ことわらずに、協力してくれました。にもつを持って、どこかへ移行としているようすだったのに、あせをかいて、インタビューを協力して、かんどうしました。

経験したのは同じことですが、それぞれの日本語レベルに合わせて書いているのがわかると思います。AさんとBさんにとって、それぞれいい機会になったのでは、と思います。

にほんごドキドキ体験&交流活動 第二弾!〔インタビュー前〕

今回は、バンコク在住の日本人に街中で突然声をかけ、インタビューするという(ちょっぴり大胆な)日本語活動をご紹介します。全体の流れはこんな感じです。

テーマ:突撃ふるさとインタビュー(出身地について聞く)
クラスの人数:20人  時間:45分×4(2日間)+教室外活動&宿題

〔1日め〕
◎ 活動前(45分×2)
   → 活動とタスクの説明
   → グループ分け、行き先決定
   → インタビューのための会話練習

◎ 活動(20分?1時間? グループによっていろいろ…)
   → グループごとに外へ
   → インタビューが終わったら、担当者へ報告の電話
   → 後は自由

〔2日め〕
◎ 活動後(45分×2+宿題)
   → グループでパワーポイント作成
   → グループごとに発表
   → 宿題で作文(個人) 

まずは、活動前の準備です。

1活動とタスクの説明
タスクを説明し、インタビュー時に持ち歩くシートを実際に見せます。(ちょっと文字がつぶれています…。)↓
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2グループ分け、行き先決定
今回、行き先はグループで自由に決めることにしましたが、場合によっては担当者が予めグループごとの行き先を指定しておくこともあります。いずれにしても、事前に少し情報があったほうがいいでしょう。↓
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3インタビューのための会話練習
↓参照ページ「日本語ドキドキ体験交流活動集」P.54〜57。今回の活動のシチュエーションに合うように、一部変更しています。
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これを使って会話練習をしたら、いざ、教室の外へ!
教師は一緒に外へは行きません。オフィスでゆっくりコーヒーでも飲みながら「終わりました!」という報告の電話が来るのを待ちましょう。